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大勝  ダイカツ

「物を大切に」売る人の心が伝わる金物屋
今も残る昔ながらの金物屋

 植田町本町の商店街に今では珍しい金物屋『大勝』があります。大勝は今からさかのぼること85年前の大正13年に創業。先代が今の田人町まで行商をしていたのが始まりでした。金物屋を開いたのは昭和の初め頃。その後、行商を続けながら、昭和30年に現在の植田町に店を構えて本格的に商売を始めました。
 昭和12年生まれの現在のご主人大野正美さんは二代目。40年前婿に入り、金物屋大勝の歴史と伝統を受け継いでいます。

使う人の用途に合った最高のものを選ぶ

 お店には包丁やハサミなどの刃物、鍋などの日用品、ネジやビスなどの工具が所狭しと並んでいます。ここへ来るお客さんは「こういうものが欲しい」と必ず大野さんに尋ねます。「今は店の人に聞かず、自分で判断して物が買えるけど、本当に自分が必要としているものかは分からない。もし必要でなければ、捨てられてしまう。物は豊富にあるけど、大切にする風習が少なくなった」と大野さん。「売る人の役目は、使う人の用途に合った最高のものを選んであげること。良いものを選んであげれば、使う人も正しく使ってくれて品物が活きる」と言います。実際に使った人の意見を聞き、それを次に活かす。お客さんが安心できる対面販売にこだわり続けています。

刃の形や特徴を見極め研ぐ評判の腕前

 「金物屋は鍛冶屋と同じように刃物の知識が必要」と、大野さんは鍛冶屋へ出向いたり、実際に使ったりしながら刃物を学びました。細長いもの、分厚いもの、円弧のもの、直線のものなど様々な刃の形や特徴を見極めて、ひとつひとつ丁寧に研いでいきます。腐った柄はきれいなものに代え、研ぎ上がった包丁は、新品のように切れ味も抜群。30年来通っている人や、わざわざ市外から来る人もいる評判の腕前です。作る人、売る人の思いを感じ、物を大切にする心を目覚めさせてくれるお店です。
■いわき市植田町本町2-1-2
■TEL.0246-62-2301

この記事は2009年4月号に掲載されたものです。掲載当時と内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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