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和人形創作 武蔵 文子 (むさし ふみこ)

情熱を注いで命を吹き込む「創作人形」
 見る人をほのぼのとさせ、温もりと懐かしさで包んでくれる人形たち。豊かな表情は、何かを話しかけて心を伝えているようにも見えます。
 武蔵文子さんは、人形を作って10年余り。指先やしぐさなどの巧みな動きと、着ている衣裳や道具で、日常の暮らしの風景や、日本の昔の暮らしを再現しています。

一からの手探りで
独学で始めた人形作り

 もともと手仕事が好きだった武蔵さんは、主婦業の傍ら洋裁や小物作りを行っていて、骨髄バンクに作品を寄付するなど、趣味を活かしたボランティアも行っていました。
 人形を作ろうと思ったきっかけは、11年前に観た歌舞伎の公演でした。「まるで人形が動いているかのよう」。大きな感動が、この道へと導きました。
 独学で始めた武蔵さんの人形作りは、一からの手探りです。買ってきた人形を分解して研究したり、使う材料や型紙など試行錯誤。身に着けるものは人間の実物を買ってきて、それを解いて採寸し、縮小した型紙で人形用に作っています。

命を吹き込む緻密な作業が
見る人を感動させる

 武蔵さんの人形の特徴の一つは、物を持ったりつまんだりできる「手の表情」です。小さな手に5本の指が付いていて、親指は立体的に仕上がっています。「箸を持てる手にしたかった」一枚の布を縫い合わせて作る方法は、完成するまで何年もかかりました。さらに、関節ごとにパーツを作り、中に詰めるものも工夫。立ったり座ったり、胡座をかいたり腰を曲げたり、自由に動きを表現できるように作られています。動きを付けることで場面に溶け込み、情景を豊かに表現することができます。
 一つひとつの作業に心を込めて、まるで命を吹き込むような緻密な作業の連続から生まれる人形たちには、作る人の眼差しや心が映し出されています。
 現在は、自宅敷地の工房で教室を開いたり、個人の注文やイベントの依頼を受けて創作活動をしています。
■いわき市平下神谷字宿11-5
■TEL.0246-34-7527

http://www.18.ocn.ne.jp/~musashi/

この記事は2010年10月号に掲載されたものです。掲載当時と内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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