暮らし情報

陶芸家 箱崎りえ

日常のひとコマを豊かに、 楽しくしてくれる器たち
 いわき市に窯元を構え、全国で活躍している陶芸家の箱崎理恵さんは、1964年生まれ。子どもの頃から絵を描くことが好きで、高校を卒業後、新宿にあるセツ・モードセミナーに入学。自由教育をもとに、イラストレーターやファッションデザイナー、画家、俳優など多くのクリエーターを輩出し続けている学校でアートを学びました。飲食店やイラストレーターのアルバイトをしながら、ヨーロッパやアジア各国を旅するバックパッカーだった時期を経て、縁あって会津に移り住み、陶芸に出会いました。
 当時、地域の町おこしで『会津本郷焼』の教室が開催されていて、友人に誘われ参加したのが陶芸を始めたきっかけ。その後、いわきにUターンしてからも、子育てに追われる中、会津まで通うほど夢中になったという陶芸の世界。「作品を造っているときが、すごく楽しいんです」と、今でも陶芸が好きな気持ちは、ずっと変わることなく息づいています。

世界に二つとない手仕事の器

 「考えて造っているということはなく、生活の延長線上にものづくりがあります」「失敗も発想を転換させて、新しいものに造りかえます」という手法に捕われない箱崎さんの陶器。心をやさしく包んでくれるような温かさを感じるパステル調のデザインや、陶器から飛び出しそうな遊び心のある生き生きとしたイラストなど、海外での旅の経験や毎日の生活で目に映った景色などが様々に表現されています。
 箱崎さんが一つひとつ手で形を造り、描いた世界に二つとないの器たちは、すべて手仕事なのに価格は庶民派。展示会をするたび、いつも大盛況です。結婚式の引き出物や出産祝いの贈り物、お店で使うオリジナルの器づくりなども手掛けています。

今やれることを。

 精力的に活動を続ける中、昨年震災が起きました。「1250℃にまで上がる窯を焚き、また大きな揺れが来たら、他の人にまで迷惑をかけてしまう。仕事をしている場合じゃない」と、しばらくは何も手につかなかったと言います。それでも、自分の作品を求めている人がいることを知って再開。「今自分がやっていることは、ずっと続けたい仕事だと思っています。だから、今やれることをどんどんやっていきたい」と、箱崎さん。
 より一層作品への思いが高まった箱崎さんの器たちが、日常のひとコマを楽しく豊かに彩り、たくさんの人の心に幸せを届けています。
箱崎りえ

1999年 いわき市美術展佳作入選

2000年 いわき美術展市議会議長賞

2001年 福島県美術展に入選

 

問い合わせ

いわき市平中神谷字苅萱51

TEL.0246-34-4454

 

この記事は2012年9月号に掲載されたものです。掲載当時と内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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