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時間と空間の旅
上田裕則Vol.76「子供がピーマンを食べないのは正しかった!?」
子どもが嫌いな野菜は何だと思いますか?
そう、いまあなたが思い浮かべたそれです。堂々の第一位はナス、第二位がピーマンです。ピーマンと予想された方、残念でした。私もダメでしたねー、ナスとピーマン。いまは、どちらも全く問題なく食べられますよ。カレーにピーマンを入れると独特の苦味が出て、私は好きです。
小さい頃に大人が美味しそうに飲んでいるビールをちょっと舐める程度に口につけたことがある人も多いでしょう。苦かったですよね。今では大のビール党のあなた、なんで大人はこんな苦いものを美味しそうに飲むんだろうと思ったはずです。子どもがピーマンを食べたがらないのも同じ理由なんです。実は哺乳類の中でピーマンを食べるのは人間くらいで、ほとんどの動物はピーマンを食べません。それはなぜか?
ピーマンには微量の毒が含まれているからで、毒は苦いのです。
でもご心配なく。含まれているとはいってもごく微量なので、普通に食べる分には全く問題ありません。どんなものでも一つのものを食べ過ぎるのは良くないわけで、例えばワラビの食べ過ぎは貧血を引き起こすと言われていますし、タラの芽とかふきのとうの食べ過ぎは尿路結石の原因になることがあります。そもそも植物には毒が含まれているものが多くて、漢方薬に代表されるように、お薬の多くは植物由来の有毒成分を有効利用したものです。毒を以て毒を制すといいますよね。
子供がピーマンを食べない、食べたがらないのは、苦味は毒だとからだが知っているからです。子供は自らの生命を守るために本能的に、自然と苦味を避けるのです。
私たち大人は経験でその食べ物が安全でありからだに有効だと知って、毒の苦味さえ美味く感じるようになります。それは私たちが親や祖父母の経験を継承し、自らの経験として獲得したものです。同じように私たちにもそれを子どもに伝えていく義務があるのではないでしょうか。親が美味しく食べないものを子供が食べるわけがありません。子どもの食生活、健康は親が一手に握っているのです。生物の本能として子どもが食べたがらないものを、無理やり食べさせるのではなく、食べたい、食べてみたいなぁと思うように親や周りの大人がピーマンを美味しく食べることが大事なんだと思うのです。ピーマンをはじめいろんな野菜を美味しく食べた経験のない子供が親になれば、当然にその子供はピーマンを食べません。そのうちほとんどの野菜どころか、食事自体がパウダーや特定の成分だけのサプリメントになりかねません。
食べることは生きることであり、他の生き物の生命を頂くことです。それは食べるものが植物であろうと動物であろうと変わりません。生きた命を食べるからこそ、苦味や酸味(腐敗あるいは発酵)を感じ、自らの命を守るからだのしくみが作られていくのです。生きた命を食べない加工食品ばかりの食事は、私たちが生き物として身の危険を感じるしくみが発達することを阻害して、自分や家族の命を危険にさらすことに繋がりかねないことを知っておくべきではないでしょうか。
子供たちが健康な食生活を未来に継承していくために、まずは私たち大人がピーマンを子供の前で美味しい、美味しいと食べてみませんか。ピーマンの毒は油で弱まります。さっと油で炒めて塩やお醤油を垂らしただけでも、かなり美味しいですよ。
うえだひろのり
有限会社いわき損賠保険サービス代表取締役宅地建物取引主任者
一般旅行業務取扱主任者
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