暮らし情報

時間と空間の旅

上田裕則

vol.93「いちばん大切なこと」

みなさんにとって、一番大切なことは何ですか?

おいおい、いきなり何を言い出すんだと――。でも、時間を忘れていつまでも没頭できることの一つや二つくらいは誰にでもあると思います。でも、日々、目の前の仕事や家事に振り回されて人生経験を積むごとに大人というお利口さんになって、誰かの指示を待ち、言われた事さえやっていればと、本当にやりたいこと、大切にしていることから目を背け、あるいは自分から諦めて気が付かない振りをしてしまう。

そりゃあ、夢や理想は誰にだってあるさ。でもそれを叶えることが出来る人は限られてるんだよ。あなたのいう事はどこまでも理想論で、キレイごとで、現実を分かってないと、そういう意見もあるでしょう。でも本当にそう思ってますか?

本当は自分で分かっているはずです。本当に自分が一番大切にしていることは何なのか、を。分からないという人は、気づいてないだけです。誰もが幸せになるために現在に生まれてきたのです。あなたの人生の時間は、あなた自身のものであり、自分の生きる時間と幸せになる権利を他の誰かに無条件で預けないで欲しいのです。

自己実現なんてムツカシイ言葉がありますが、誰かのため、社会のために自分の持てる力で役に立って、誰かが喜ぶ姿が自分の活力になることを誰もが経験的に知っているはずです。

いま未曽有のコロナ禍にあって、量子コンピューターの実用化が始まりました。

私たちが慣れ親しんだ社会の枠組みが音を立てて崩れ落ち、とてつもないスピードで再構築、いや新規に組み上げられようとしています。昔はこうだった、前の方が良かったなどと言っていられないほどに社会経済の在り様が変わってしまうでしょう。

変革を迫られているのは、社会ではありません。私たち自身です。私たち一人ひとりが社会の主体である自覚を失った時、私たちの「個」が失われ、考えたくありませんが、一部の支配者層と超高規格のAIに管理された社会が出現するでしょう。

だからこそ、私たち一人ひとりが自分にとって一番大切なものに気づかなければなりません、そして一番大切なのは、一番大切なことを、一番大切にすることです。

もとより一番大切なことに利己的なものはありません。私たちの誰もが、誰かのために生きているのです。誰かを想い、誰かのために、自分のことをもっと大切にして欲しいと、心から願うばかりです。

ということで、このコラムも今回でお仕舞いです。十二年もの間、黙って好きなことを書かせて頂いたネットワークスの皆様はじめ、読んで頂いた総ての方に心より感謝を申し上げます。

私が一番大切にしていること。それは伝える事。

舞台は変わりますが、書いて伝えていくことに変わりはありません。私は、ここに時の欠片を残していきます。時の記憶の中で、またお目に掛かることがあれば、それが時の意思なのかもしれません。長い間、ありがとうございました。

うえだひろのり
有限会社いわき損賠保険サービス代表取締役
宅地建物取引主任者
一般旅行業務取扱主任者

有限会社いわき損害保険サービス
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